自閉症スペクトラム障害

1 自閉症スペクトラム障害の意味

自閉症スペクトラム障害とは、自閉症、アスペルガー症候群を含む発達障害の総称でありその典型的な特徴は

  1. 相互的対人関係の構築の支障
  2. コミュニケーションの支障
  3. 興味・行動の偏り

であるとされています。

従来は、自閉症やアスペルガー症候群など自閉症スペクトラム障害に含まれる発達障害は個別に区別して呼ばれていました呼称していました。
しかし、近年になり、これらの個 別の発達障害には、その症状や特徴には、連続性が認められるため、個々の障害を区別して取り扱うより、広く1個の発達障害として捉えることが適切であるとの考えが生まれてきたことを背景として、自閉症スペクトラムという言葉が用いられるようになりました。

なお、自閉症スペクトラム障害という言葉に関しては、その症状の内容・程度により実生活上に支障のないケースが認められるので、「障害」という言葉が用いられない場合もあります。

2 自閉症スペクトラム障害の原因

自閉症スペクトラム障害は、発達障害に分類されるものです。そもそも発達障害とは、主として先天性の脳機能の障害を原因として乳幼児期に生じる発達上の障害です。
このように発達障害の原因は、先天性の脳機能の障害であり、親のしつけ、生育環境、本人の怠けではありません。

3 自閉症スペクトラム障害の兆候

自閉症スペクトラム障害の兆候としては、典型的には、1歳のころ、人の目を見ることが少ない、指さしをしない、ほかの子どもに関心がないなどの様子に現れるとされています。
また、言葉を話し始めた時期に遅れはない場合でも、自分の話したいことばかり話すため、他人との会話のキャッチボールがうまくできなかったり、自分の興味のあることであれば何時間でも熱中したり、あるいは、初めてすること、それまで決まっていたことを変更することに対して適応するのに非常に時間が掛かるといった症例が認められるとされています。

4 自閉症スペクトラム障害の治療

現在、自閉症スペクトラム障害に対する確立した治療方法は存在しません。
そもそも、自閉症スペクトラム障害に対する治療という考えは必要のないことだとする見解があります。
発達障害という言葉は、あくまで脳機能の障害を抱えて生まれた人の個性が社会生活を送る上で支障が生じているために、これに対応するために生まれたものです。
その支障を除去するために、自閉症スペクトラム障害を抱えている人の個性を除去することは方向性が間違っており、その個性の持つ長所と短所を理解して、長所は生かしてやり、短所はフォローするという姿勢でサポートする身近な人間の存在が必要なのです。
そして、そのような身近な支援者を支えるための専門家の育成、専門機関の整備ひいては自閉症スペクトラム障害について理解のある社会環境の醸成により、少しでも自閉症スペクトラム障害を抱える人が自分自身の個性を発揮して生きていける機会を作ることが大切なのです。
もちろん、その前提として、自閉症スペクトラム障害を抱える人自身が自身の障害について自覚・認識して、周囲の人間と協力しながら少しでも自身の短所を改善していくための努力をすることも必要でしょう。